きな粉もち(30代 女性)
実は話に出てくる彼とはもう別れているんですが、一度復縁したことがあり、それが貴重な経験だったと感じたので、今回紹介させていただきました。
彼と知り合ったのは大学のころで、付き合おうってなったのは卒業が間近になったころでした。
大学を卒業してからも付き合いは続いていたのですが、学生の時と違って生活環境も大きく変わって、何となくすれ違いが多くなっていたように思います。
けど、わたしは彼のことが大好きだったし、たまのデートは本当に楽しみでした。
ところが大学を卒業してから1年ほど経ったある日のこと、彼から呼び出されて別れを切り出されたんです。とてもショックでした。
ファミレスの中で話していたのですが、感情的になって、泣きながら彼を問い詰めました。
「ほかに好きな子ができたの?」
「わたし何かした?」
「どうして?どうして?!どうして!!」
と質問攻めにしました(今思い返せば、なんでもっと冷静になれなかったのかと自分でも苦笑いするほどです…)。
彼から返ってきた言葉は基本的に
「ごめん」
と
「A子(私)は悪くない」
の二つでした。
いや、実際にはいろいろ言っていたのですが、感情が高ぶりすぎて他に何を言っているのか聞き取れなかったんだと思います。
それから1週間くらいは文字通りショックで食べ物が喉を通りませんでした。
暴飲暴食に走らなかったのは、また彼が振り返ってくれたときに太っていると思われるのが嫌だ、という気持ちが漠然とあったからです。ただそれだけ。
(一回体調不良を理由に仕事を休みました)
毎晩、辛くて泣いて泣いてを繰り返していました。
しかし、何のきっかけか、ある日気持ちがスッとする瞬間があったんです。
泣くとストレスが軽減されると言われますが、泣きすぎて達観したのかもしれません。冗談です(笑)
「私は何で泣いているんだろう?」
「彼と別れることが辛いから?」
「今まで『別れないこと』がゴールになっていなかったか?」
「最近、彼の仕事や生活について聞いてあげていなかったのでは?」
そう思ってからは泣くことがなくなり、冷静に気持ちを整理する方向にシフトしていきました。
もちろん可能性として、もう一度やり直せるなら復縁したい。
けど、もしもそれがだめならだめで、今まで一緒にいてくれたことに感謝しようという気持ちの余裕もありました。
そんなふうに気持ちが落ち着いてから、もう一度彼と話す必要性を感じました。
意を決して私のほうからメールを送りました。
最初は「あの時(ファミレス)は一方的に質問攻めにしてごめん…」「きつい言い方もしたよね…」と素直に謝罪して、
「もう一度話す時間を持ちませんか?」
となぜか敬語の文章をメールました。
後から彼に聞いた話ですが、このメールが届いたときかなり悩んだそうです。
別れを切り出したことに罪悪感はあったし、傷つけたことも理解している。
けど、また目の前で泣かれるのは辛い、という気持ちがあり、返信するまでに3日間悩んだとのこと。
結果的にもう一度会うことになって、カフェで待ち合わせることになりました。
待っている間、私は自分でも驚くくらい不安な気持ちはなく、落ち着いていました。
「どんな結果でも受け入れられる」
「結果は結果であって変えられないけど、そのあとどう行動するかは変えられる」
「だから何の心配もない」
本当にそんな感覚だったのです(本当に達観したのかも?笑)。
数分後に彼が来て、「電車混んでた?」「来てくれてありがとう」と簡単なあいさつをしてから、話を切り出しました。
私「前はたくさん泣いてごめんね…。話になってなかったよね?」
彼「ううん、いいよ」
私「ずっと考えてて、もしあなたが別れたいならそれを受け入れようと思う」
彼「え?いいの?」
彼はかなり驚いた表情をしていました。
私「うん。今回呼んだのは、あなたの話を何も聞かずに終わったら後悔すると思ったからなんだ」
彼「俺の話?」
私「私、自分のことばかり考えていて、あなたのこと理解しようとしていなかったよね?別れようと思ったのにもいろいろと背景があったはずなのに…」
そんな話をしばらくしていると、彼が別れようと思った背景についていろいろ話してくれるようになったのです。
- 仕事がうまくいっていないこと
- 職場で先輩社員数名から嫌がらせを受けていること
- それなのに私が仕事について楽しそうに話していて辛かったこと
- 言い出せなくて、一緒にいるのも辛いから別れようと思ったこと
などなど、私の予想していたことからは大きく違った内容を聞くことができました。
聞く人が聞いたら彼のことを自分勝手というでしょう。
けど、同時に私は私で彼を理解する努力をしていなかったのです。
かなり長い時間、話を聞いたり聞いてもらったりすることが続いて、最終的な結論を出す雰囲気になりました。
ちょっとした沈黙のあと、彼がこう言いました。
「俺から別れを切り出したのに、こんなこと良いかわかんないだけど、もう一度やり直せる?やっぱりA子のことが好きだわ」
素直にうれしかったです。
ちょっと声が裏返った感じで
「あ、こちらこそよろしくお願いします!」
というと、彼から「よそよそしいわ!」という突っ込みが入りました(笑)
結局、それから3年後には別れるのですが、その時はお互いもっと前向きに別れることができたと思います。
この経験は、彼と私の関係だけではなく、普段の仕事や友達なんかの人間関係に対する考え方を変えることにもつながりました。
もっと相手のことを理解しようと努めることが、いろんな場面で重要になることに気づいたのです。
結果的には別れましたが、そのことに気づくきっかけを与えてくれた彼には今でも感謝しています。
今、復縁を考えている方が理解しようと努めたからと言って、すべてのケースがうまくいくとは言い切れません。
しかし、理解しようと努めることは、何かしらの良い結果を連れてきてくれるとは思っています。